留袖

古いものですが染直し可能でしょうか・・・    山梨 N・R様

【ご要望】

両褄の先に左右対称に柄がついた、江戸褄模様の黒留袖です。

亡きお母様のおきもの。

染め直しできるか御相談を受けました。

Before
N・R様 BEFORE
After
N・R様 AFTER
コメント

取り敢えず、おきものを拝見させていただきました。

①生地が弱っているので、紋はそのままか、貼り付け紋になること。

②刺繍は糸が朽ちてる様子なので、やり直しが予想されること。

③胡粉加工部分が落ちてるので、修正が必用になるかもということ。

④身丈は生地に余裕がないので、出来る限りでお仕立てすること。

⑤何より、生地が加工に耐えられるかが、一番の心配であること。

これらのことをお伝えいたしました。

そして、これまでの経験でさまざまな手立てを持ってはおりますが、
当然、加工中に大切なおきものが破れてしまう可能性がございます。
その上、そこまでの加工代は頂くことになります・・・とお伝えいたしました。

「そうなったら、逆に諦めがつきますので、加工をお願いします!」

そのお返事に大変驚いたものの、
「ああ、本当に大事なおきものなんだなあ・・」と、
N様の亡きお母様への想いと強い絆を、
とても嬉しく感じさせて頂きました。

大きな不安を抱えながらも、
何としても、お母様のぬくもりをそのままに、
お返ししたく、加工にはいりました。

生地の両ミミに綿の布を縫い足し、加工中に破れが出ないように、
慎重に慎重に加工を進めました。

生地の限界なのでしょう・・・

染料がしっかり繊維の中に入り込まないようでしたが、
破れることなく、終えることができました。

 

【お客様の声】

多分再生は無理だろうと思っておりましたので、
とても興奮しています。

仕上がりの素晴らしさに大満足しております。

きれいに蘇った留袖を手にして、
姉と共に、40年前に亡くなった母をしのび、
昔話に花を咲かせることができました。

ご努力下さいました皆様に心より感謝いたします。

今回、御社に巡り会えて本当に良かったです。
ありがとうございました。

 

【加工内容】

解きハ縫い洗いのし→加工用生地補強→紋伏せ直し→柄伏せ
→糊置き→糸目糊置き→黒染め→蒸し・水洗→刺繍直し
→地直し→お仕立て(胴裏新しく)

 

【参考価格】

¥227,260-(税込)